サウナの(ととのい)について・論文あり

ととのう
サウナ→水風呂を終え、休憩をしているときに恍惚とした状態に入ること。トランス状態とも呼ばれる。

これが特別なのは、体が完全に休んでいるのに、頭がとても覚醒している、珍しい状態だからだ。このような状態は、普通の生活をしているとありえない。頭がバッチリ起きていれば、体も起きているのが人体だ。しかしサウナでととのうときは、体はリラックスしきっているのに、頭はスッキリしている。ゆったり気持ちのいい感覚に身を包まれながらも、意識ははっきりとしている。そうした珍しい現象が起こる。ボールが止まって見えたなど、アスリートが経験するゾーンに類似した状態と言われるが、ゾーンはプロが激しい鍛錬の末に経験できる状態だ。そのような状態を素人が短時間で簡単に起こすことができるのは、サウナ以外では困難と言われる。


近年のサウナブームはこのととのう状態が非常に快感であるために起こっているといえる。


ととのうための具体的なステップは、
1.サウナで体を温める
2.温まった体を水風呂や冷水シャワーなどで急速に冷やす
3.休憩(外気浴)する

このステップを踏むとなぜ体がととのうのか。サウナ室内は超高温のいうなれば異質な空間である。実際、メキシコ北西部で49.5度を記録したとき、110人が命を落とし、「自分に向かって火の玉を投げつけられているような感じだった」と体験者が感想を残している。それよりもずっと高い80度前後という環境に入ることによって、人間の脳は危機的状況であると認識する。体内でアドレナリンが放出され、交感神経が優位になり、体が戦闘態勢になる。サウナの高温が強制的に脳を興奮状態に持っていくのだ。そして水風呂に入ることで一時的にその窮地を脱したという感覚に陥るが、すぐにまた冷水という異常事態から脳はアドレナリンを放出し、血圧は乱高下する。そしてそこから外気浴に移行することで、やっと危機を脱したと脳が判断し、副交感神経を優位にする。興奮を抑えるため脳が休息をとる指示を出すのだ。しかし放出されたアドレナリンはしばらく体内に残っている。これによって、通常では混ざりあうことのない、アドレナリンと副交感神経優位という相反する二つが共存することになる。これがととのうと呼ばれる状態で、短時間だけ体内に起こるバグともいえる。アドレナリンの血中半減期はおよそ2分間なので、この状態は数分で終わる。しかしその後もしばらく余韻は続く。

アドレナリンの血中半減期は2分
論文名:循環中のペプチドとアミンの半減期
Half-lives of peptides and amines in the circulation
S H Ferreira, J R Vane

 

ととのい椅子
サウナ→水風呂の後に、ととのうために座る、もしくは寝転ぶための椅子。ベンチ、イス、リクライニングできるインフィニティチェア、寝ころべるデッキチェアなど様々。


ととのいタイム
ととのっている時間。たった数分と言われる。多くの人はこの数分のためにサウナに行く。